読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

靴屋とデータマイニングと季節外れの冬物衣料

やぁ。4月も終わりだというのに、いやに寒い日が続いてるね、元気かい?
面白い話がtwitterに流れていたので紹介したい。

日経コンピュータの話。ビックデータ神話に乗り、多額の費用で解析した靴屋の話、解析結果、冬にブーツが売れ、夏にサンダルが売れるw。

https://twitter.com/yawachi/status/326460494154194944

これを見て君はどう思う?
twitterでは皆がこのニュースに対して嘲笑を投げかけていた。
そりゃそうだろう、大金を掛けて誰でもわかることしか出てこないなんて、笑われて当然さ。
データマイニングってのは、やっぱり、もっとこう、あの有名な「おむつとビール」ような意外性のあるものじゃないとね。
そう、データマイニングに必要なのは意外性だ!
あの靴屋は全く馬鹿なことをしたもんだ、ゲラゲラ!


OK、笑いが取れたようなので、もう一つ同じような話を紹介しよう。
クックパッド社の提供している「たべみる」というサービスについてだ。
クックパッド自体はよくあるお料理レシピサービス(但し最高にクールだ、君も使ってごらん!)で、
たべみるはそのサービス内の検索キーワードのログを販売するサービス。
たべみるを使うと、単なるレシピの検索回数だけではなく、「どのエリアで」「何月に」検索されたかまでわかる。
これを利用して小売店や流通業界はデータマイニングをした。
どんな意外性のある結果が出てきたと思う?例えばこんなものだった。
「冬は鍋の検索回数が多い」
なんたる自明!どこまでも当然!当たり前以外の何物でもない!惨憺たる結果、笑うしかないね。
ところが小売店や流通業界はこの結果を実に上手く活用する。
彼らはその道の歴戦のプロであり、長年に渡って培ってきた市場感がある。
あの業界では「鍋物の季節はせいぜい1月まで。それ以降は売れ行きが落ちるので売り場は撤退すべき」という常識があった。
しかし、データは語りかける。「1月を過ぎても鍋物の検索数は落ちない。つまり、需要は少なくない」と。
彼らはその結果を見て、自分たちが今まで大切な商機を失ったことに気づいたんだ。


さて、話を笑いものにされたあの靴屋に戻そう。
そして彼らが実に有意義な分析をした(少なくともその可能性がある)んだと君に伝えよう。
「夏」や「冬」が具体的に何月何日を指しているのか、それは果たして自明だろうか?
まだ寒い日が続くなぁと思って冬物衣料を買いに行ったら、
店内にはもう完全に春物ばかり、いやそれどころか既に夏物が顔をのぞかせていた、
そんな経験が君にもないかい?
もしかすると需要とのミスマッチが起こっているかもしれないね。
それをデータから適切なマッチングが出来るようになれば、顧客も店側もハッピーになれる。
あの靴屋は恐らく手に入れただろう、ブーツが売れる時期である冬とは、一体いつからいつまでなのかを。


先ほど「データマイニングに必要なのは意外性だ」と言ったけど、ねぇ、それって本当?
意外なことを言うのがデータマイニングの本質なのかい?
考えてみよう、データマイニングの本質とは何なのか。
僕はデータから顧客満足度を高めることや売上に貢献する可能性を見出すことだと思うね。
それに対して意外性がどれほど重要かな。
ビールとおむつの売り場を近づけるのは、なるほど、お話として面白い。
けど良く考えてみると、ビールとおむつを一緒に買う層がどれだけいるだろう、
売り場を近くすることによってどれだけ売り上げが変わるだろう?
つまり、「意外性ある発見が、顧客満足度や売り上げに与えるインパクト」はどれくらいだろう?
そして、たべみるや靴屋の例で出てきた
「必要な時に欲しいモノが手に入る」という素晴らしさのインパクトとは!


靴屋の話を「意外性が無いから無駄」と切り捨てるのは、うーん、あんまりハッピーじゃないね。
いいかい、重要なことは「どれだけ意外性があるか」ではないんだ。
「どれだけ多くの人をハッピーにできるか」なんだ。
例の靴屋が、顧客が本当に欲しいと思っている時期に適切な靴を並べることが出来たなら、
それは素晴らしい価値創造だ。


先週、天気予報が真冬並みの気温を告げてきたので、
僕はどこかに行って季節外れの上着を購入する必要に迫られた。
こんな四月も半ばになって冬物衣料を置いている店とは?
ここで、セブンアンドアイホールディングスについて話を挟もう。
セブンアンドアイホールディングスはデータマイニングを含め、様々な最適化に力を入れているグループだ。
小話をすると、セブンアンドアイホールディングスのコンビニであるセブンイレブンは、
配送ルートに一筆書きの概念を利用している。
一筆書きの主な性質とは「1.指定された点を通る、2.二度と同じ経路は通らない」の2点だ。
これはつまり、各配送すべきコンビニ店舗を通りつつ、同じ道を何度も行き来するという無駄を省いた経路、ということだ。
配送ルートまで最適化しているセブンアンドアイホールディングス、
きっとこの時期でも冬物衣料を置いておくべきとデータから算出してくれているのではと期待して出かけた。
見事に置いてあった。お蔭で寒くない。
これを「単に売り場面積がでかいから季節外れでも冬物衣料を置き続けられただけだろう」と揶揄するのはたやすいけど、
果たして売り場面積が大きいからってスペースを無駄にするようなことをするかな?いや、わかんないけどね。
「四月半ばにもなれば、上着なんて売れないだろう」という常識をデータで吹っ飛ばしてくれたマイニング屋さん、
お名前は知らないけどあなたのおかげで暖かく過ごせたよ、ありがとう。
私もあなたのようにマイニングでハッピーを生成するよ。












○すげーウルトラミラクル糞どうでもいい追記
※文中に出てくる店、大井町駅の目の前にあるアレを僕はずっとイオンだと思って2年半ほど通ってたんですが、
つい先ほどご指摘を受けてアレがイトーヨーカ堂だということにようやく気づきました。
本当に嘘ばかり言って申し訳ありませんでした。
そして俺は2年半何を見てたんだマジで、いやもうマジで。



○すげーウルトラミラクル糞どうでもいい追記2
「たべみる」がところどころ「たべろぐ」になってて意味不明な文になってました。ご指摘ありがとうございます。