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退職しました

日記

 昨日2011年10月31日をもちまして、約2年半お世話になった金融機関を退職しました。退職の旨を周囲にお伝えすると、驚きの声が…全く上がらず、「あんちべは5年もここに居ないだろうなってずっと思ってた」と皆さんから言われました。それどころか「なんでお前初めからベンチャー行かずに、こんな堅苦しい大企業へ来たんだ?」と問われること多数(どころか十中八九聞かれる始末…)。現職を選んだのには理由がありました。それは高校時代に遡ります。
 「モノづくりをして、技術で皆さんの生活をハッピーにしたい!」という思いから、進学校ではなく、某工業大学付属高校へ入学しました。技術を学ぶのは楽しく、そのまま技術屋になろうと考えていました…が、地元の工場見学で社会人と接するにつれ、徐々に「現場でどんなに頑張っても、マネジメントやそもそもの経営が上手くいってないと詮無いのでは…」という思いが募り、進路に悩みました。
 そんな考えを抱いていた高校2年目の文化祭、木屑をぎゅうぎゅうに詰めたぬいぐるみを作るというブースを覗きました。完成品はやけに丈夫でした。なんとなく気になって、ブース担当の助教に「なぜ綿ではなく木屑を詰めたぬいぐるみを作るのですか?」と聞いてみました。そしてその答えが、思いがけず僕の進路を大きく変更することになりました。
 「丈夫なぬいぐるみだろう?これはね、精神に辛いものを抱えている子供たち向けのセラピー用のぬいぐるみなんだ。癇癪を起こし、おもちゃを壊してしまったり、あるいはおもちゃで自分を傷つけてしまったりしていまう子供がいる。そんな子供用に、大人が全力で振り回しても壊れない、それでいてぶつかっても怪我しないようなぬいぐるみが求められていたんだ。その要件を満たしたぬいぐるみがこれさ。購入者から『こんないいものを作ってくれて有難う、一生モノになる』って感激の手紙が幾通も送られてきたんだ。でもね、採算が取れなくて、そのメーカーは潰れてしまった。本当に人を幸せにするものを作りたかったら、作り続けられるだけの経済力や経営力が必要なんだ。技術は、同じものを作るときにより安くすることが出来たり、あるいはより品質の高いものを作ることが出来るようになりはするけど、そもそも工場や工員や材料を持ってくるにはお金がいる。
良いモノを作るだけではダメなんだ。良いモノを作り続けられるための仕組み作りが必要なんだ
この最後の一言が、今も僕の心の中で重要な位置を占めています。

 それから1年半後、僕は地元の工場ではなく、大学へ、それも経済学科へ進学しました。就職活動の時期を迎え、さぁモノづくりの出来るITベンチャーへ…と思いましたが、またしてもここで「確かに経営やマネジメントについて教科書で学びはしたし、そこから体系的に得られたものの価値は大きいが、果たして、それらを実践しないままベンチャーに行って良いものか?」という疑念が生まれました。というのも、既にベンチャーで活躍していた友人・知人がいたり、ちょっとお手伝いしに行くことがあって、ベンチャーの内情を窺うことが出来たからです。
 イケてるベンチャーは探せばあります。大体が1〜10人のスタートアップで、個人の卓越したプログラミング技術と発想力、営業力で素晴らしいWebサービスを実現したものです。そしてそれらがヒットすると、どうしても人手が足りなくなります。なので人材募集をかけます。いつしか人は増え、30人程度になったとします。僕のごく狭く、非常に偏ったサンプルの話で恐縮ですが、30人は一つの壁だと思います。と言うのも、30人程度になると、もう社長やマネージャが一人で全体を見渡せる規模では無くなってくるからです。そうなると、これまでの「良いサービスを作る」とは全く別の問題が出てきます。どのようにタスクを割り振るか、査定するか、指示を出すか、採用するか…。少人数の時であれば、各人の主体的な行動に任せれば話は済みますが、規模が拡大してくる、と調整する必要が出てきます。衝突する作業、矛盾して非効率な指示、意に沿わぬ査定、実情に合わぬ採用…そして、徐々に歯車が狂い始めるサービス。凄腕の技術者達とホットなアイデアによって生み出されたサービスが、なぜか軌道に乗り出した矢先に失速する現場やニュースを多く見ました。目の当たりにしながらも、何か不思議な気持ちでした。どうして、あんな尊敬すべき方々が一生懸命に開発したものが、砂山かなにかのように脆く潰えてしまうのだろう?彼が手を抜いたり卑怯な真似をしたとでも?いや、まさか!そして思い出すかつての言葉。
「良いモノを作るだけではダメなんだ。良いモノを作り続けられる仕組み作りが必要なんだ」
良いサービスを作ることが出来る、敬意に値するエンジニアであっても、良いサービスを作り続ける仕組みを作ることは難しい…。そこで、僕は大企業でマネジメントについて学びたいと考えました。プログラミング技術は独学でも何とかなるが、実際にマネジメントする機会、マネジメントを学べる機会は大企業に入らないと中々経験できない。また、大企業からベンチャーへの道はあるが、逆の道はほぼ辿れない、日本の大企業は新卒重視なので、大企業で経験を積むには今しか無い。この決断は相当迷いましたが、最終的に大企業を選択しました(なお、上記の考えは就活時点でのものであり、今考えるとベンチャーの失速要因ってもっと単純に資金繰り的なことが多くて、もっと法律学んでおくべきだったなとか、仕組み作りする力と経営力とマネジメント能力とプロジェクト遂行能力って結構違うよなとか、色々自身に突っ込みたい部分もあります…)。


 現職では、大企業特有の金と人数による絶大なパワーと、それに付随する意思決定の遅さと不明瞭さ、それらを解決するためのマネジメントや政治や根回しや人脈作りなど沢山のものを、本当に沢山のかけがえのないものを学ばせて頂きました。それらは「良いモノを作り続けられるための仕組み作り」に必要なものです。これらを学び、実践する機会を与え、サポートしてくださった関係者各位に厚くお礼申し上げます。


 というわけで、あんちべは11月以降無職になります。しかも、無職になると同時に秋葉原へ転居するため、一時的に「住所不定無職」という面白い状況になっています。無職なので、いつでも勉強会だったり何かハッカソン的につくろうぜ〜というお誘い大歓迎です。秋葉原を「無職」って書かれたバッジをつけて徘徊しておりますので、見かけたら気軽に石をぶつけてください。しばらく、線形代数や確率論など、機械学習の基礎の基礎の部分から勉強したいと思います。また、自然言語処理をするにあたって、言語学の知識が皆無であるという現状を打破するために、入門書を数冊読み進めていきたいと思います。


@同僚各位
 退職することになりましたが、同僚各位に対して寂しいとか悲しいとかそういう気持ちは一切ありません。僕らはそもそも技術やサービスについて、自発的に勉強会をしたり議論したりしてきました。同じ会社の人だから親睦を深めましょうと言って、勉強会とは名ばかりの飲み会をしていたわけではありません。なので、企業名に縛られることなく、面白そうな技術やサービス開発について、今後も一緒にやって行きましょう。


自然言語処理各位
勉強会などで今後とも宜しくお願いします。あとオファーください:D


@さくさくテキストマイニング勉強会各位
鯨本とか読みましょう。あとオファーください:D


@地元少年サッカーチームのみんな
途中であんちべだけ抜けちゃってごめんね。試合の時は応援に行くからね、みんな頑張れ!


@卓球各位
神保町のファミ卓でいつでもお待ちしております:D


@破滅各位
皆さんはどのみちもうだめです。好きに生きましょう:D


@Lisper各位
目を覚ませ:D


clojure各位
今後とも宜しくお願いします:D


@mongoDB各位
日本語で入門書書いてください。あと寝ろ :D


@この2年半でお会いした各位
ありがとうございます。
社会をハッピーに出来るような仕事をします。
これからもよろしくお願いします。